土神(どしん)
中国の風習と関係の深い民間信仰神・土神(土地や家を守り、豊作の神様として中国では広く信仰されている)。
長崎の墓所では、墓碑の横に「土神」(長崎では“つちがみさま”と呼んでいる)と刻み込まれた石碑を祀っている墓が多いのも長崎の墓の特徴である。墓所を土地神から借りるので土地神を祀る。唐人屋敷に土神堂ができたのち、唐通事や帰化唐人から長崎市民へ広まったものと思われる。
「長崎墓所一覧」には、「唐人屋敷に土神堂ができたのち、唐通事の墓に、本山土地正神、土地神、福徳土后などが出来始めてから日本人が真似し始めたのではないか」と説明され、それに、多くの呼称があったことも紹介されている。土地霊・土祀・土地神公・地神・土荒神など約20種類が上げられている。
日本にも土地を治める神として、屋敷神・荒神・地荒神・地主様などと呼ばれる神々がいて、墓所をつくる時などは一時的にその場所を土地の神から借りるという意味で祭祀されてきた。長崎の土神と全く同じ意味があり、日本へは古くから中国の影響があったことが指摘されている。